ISB Syncrolift Yard's Blog

日本で初めてシンクロリフトを採用した東京湾の造船所です。造船所で日々おこるトピックを紹介します。

自動操船とDPS 進化する船の建造を予定 日本は海洋開発で立ち遅れ

 先週金曜日はノルウェ-に本社があるKongsburgというDynamic Positioning Systemを製作販売している会社の方々が来社しました。目的は弊社で現在商談中のサプライボ-トに搭載するDPSの仕様説明と情報交換です。
 
現在車は自動運転技術が研究されて、2020年過ぎには実用化しそうな勢いですが、船の世界ではある意味で30年くらい前からコンピュ-タ-による自動操船の技術がノルウェ-で研究され、深海石油リグの定点保持や、サプライボ-トなどの特殊船への搭載が進んでいます。当社も10年以上前からこのDPS搭載船を建造していますが、この度そのような商談があり、メ-カ-の方から直接説明を聞ける機会があり、以前から楽しみにしていました。ただ自動運転といっても無人運転とは違います。

 今回はノルウェ-人の副社長兼営業部長、中国人の営業副部長、それと日本の代理店の方3名で来社されましたが、会議自体は英語でとお願いしました。こちらも若い社員がおりますので、当社も会議はぼちぼち英語でやる準備をしないとと思いもありました。

 まあいろいろありましたが、一番驚いたのは、既にDPSを使った無人化運転を、中型フェリ-を使い実験している事です。また深海探査のためのソナ-ですが、既に13000mを探査する機器がいろいろと商品化されており、これは当社の電気屋さんが計画中の船に搭載することを想定し見積もりや勉強のために説明をしていただきました。

 また最新のブリッジレイアウトや制御機構のプレゼンを受けましたが、船自体の制御がほとんどコンピュ-タとモニタ-になっております。今までの普通の船はエンジン1基、舵1つで、スラスタ-が1基あれば上等といったところですから、人間が制御可能です。
 ところが DPSを搭載するような船では最低主機関2台、舵2式、バウスラスタ-2台、スタンスラスタ-1台以上、またはアジマスプロペラ2基といった多くの推進装置を搭載します。従って人の能力を超えた機器を制御するにはもはやコンピュ-タ-に代わってもらうしかありません。

 従って実施の船では建造時も運行時も、今まで以上に電機技師が必要で、乗組員として電気技師が乗船しています。今の日本ではそのようなことを想定した船の運航や教育システムや要請をしていないので、この部分が大変ネックになるということを申し上げました。

 メーカ-の提案は大変すばらしいのですが、現状の日本の船員造船教育システムは相当立ち遅れており、技術の進歩に追従していないように思います。


 会議は2時間半に及びましたが大変中身の濃いもので、休憩もなく社員も真剣に聞き、質問や不明事項を明らかにできたこともありましたので良かったかと思います。大学を卒業して外航船に乗ってから、外地ではフォアマンと当然英語のやりとり、造船所に戻っても輸出船では文書からずべて英語ですし、たまたまここ15年全く英語を使わなかったので少々勉強をしておきましたけど、若い方々にはもう英語は出来て当たり前のこととして、頑張ってもらいたいと思います。

 今回はあまり言いませんでしたけど、海洋大出身者の二名を会議に参加させましたが、何でもいいので質問や疑問をぶつけてもらいたかったですね。最初の英語での会議だったので慣れないことと思いますが、技術屋の会議ですので文法など別にして、思っていることをぶつけることが大事かと思います。今後の彼らの成長に期待したいですね。