ISB Syncrolift Yard's Blog

日本で初めてシンクロリフトを採用した東京湾の造船所です。造船所で日々おこるトピックを紹介します。

プロペラを直す 新品同様になります

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プロペラ事故は船には付き物。

今回はワイヤとロープを巻いたようです。

プロペラは取外し修理しますが

こんなにきれいに修復できます。

 

 

 

久々の海上運転 10年に一度の寒波と暴風翌日で緊張走る

試運転旗です

昨日久しぶりの海上運転を行いました。24日から25日未明にかけ、寒波と暴風で日本列島は大変でした。

翌日25日10時から海上運転を行うかどうか、24日は判断に苦しみました。

幸い天候は天気予報通り10時過ぎは風速7m、その後は風もやみ、良い試運転日和となりました。

LNGが富津港に入港するので早めに運転を切り上げ、無事終了でき、肩の荷が下りた次第です。

速力試験、旋回試験、前後進試験などですが、慣れたメンバ-で手早かったですよ。

 

 

 

 

 

 

EV船を見学する 旭タンカ-

DECK

EV船

先月ですがEV船を見学しました。

一言でいえばバッテリ-で動く船です。

ですからプロペラを回す主機関がありません。

そのかわり、機関室には小さな400PS程度のバッテリ-充電用補助発電機があります。

機構的なことを言えば、全旋回プロペラを2基取り付け、またスラスタ-もありました。ジョイスティックもあります。

これからこのような船が増えるのか不明ですが、まずやってみるという判断でしょう。

気になることといえば、船体塗装がピンク中心で、多くの色が使われており、塗装費だけで5倍はかかるなと思います。

デザイナ-が入ったようですが、正直早く普通に戻すことを皆さん考えているでしょう。

船は明るい日差しでデッキが白だと目を紫外線でやられます。ですからデッキグリ-ンです。デザイナ-はそこまで気が付かないのでしょうね。

ネットから拾いましたが

紫外線を通しにくい色の順番は

黒、青、緑、黄色、赤、ピンク、オレンジ、白

となります。

なので、紫外線を一番通しにくい色は黒であり、逆に紫外線を一番通してしまう色は白だとわかります。

つまり甲板で反射した紫外線は船員のデッキ作業と、ワッチ時における目の疲れを助長します。早いところ普通に戻すことを推奨します。

 

 

 

中手造船所の活躍に目を見張る

 前回書きましたように、大手造船所は大変厳しい状況にあります。

一方中手造船所は、厳しい状況にもかかわらず、大手との提携や、ヤ-ドの拡大を行っています。

 なぜこうなっているのかはだいたい想像がつきますが、当事者に聞きませんと正確さを欠きますので、推測はやめておきます。

 ただ言えることは、彼らは造船専業ですので、後ろは崖っぷちです。

これで食っていくしかない中で、コストダウンや受注に関して相当の努力をしていることは推測できます。

私の勝手な推測とは別に、下記に分析したアドレスを示しますので、興味のある方は見ていただければと思います。実に冷静な分析で、一見の価値はあると思います。

 

https://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/10/20/150513i_fujishiro.pdf

 日本は造船世界1位の座を譲ったとはいえ、まだまだ相当量の建造シェアを持っていますので、あまりその場しのぎでない政府の支援や政策を期待したいところですね。

大手造船所の衰退はなぜ起こった?日本の造船は今後どうなるのか

 

新聞やネット上に記載されていますように、三井造船三菱重工の造船部門の撤退が続いています。または今治造船などの中手との業務提携で生き残りをかけたり、日本の大手造船業は事業構造の転換点に来ました。

 

 これらの一連の流れは関係者からすると予定通りの流れであり、予測されていたものです。日本の大手造船所の衰退は既に30年前に始まっています。それは目に見えぬところで始まっていましたが、途中数度の好景気に覆い隠され、その好景気が過ぎ去った今、表層に出てきました癌のようなものです。

 

 組織は老化します。

 これから成長する産業分野では、マーケット需要に合った人材の獲得、育成、組織を立ち上げ、設備投資し、運営してゆきます。日本の造船業は戦後そのような状況で、為替による競争力も手伝って世界の造船所として伸びました。結局成功体験を引き摺り、中国韓国の競合先の動向をつかみ損ねた感があります。

 日本の船主から言わせると、既に技術的にも日本の造船は一流ではないということを明言しています。資料によると韓国は技術的にも既にトップという記事もあります。

 

 さて、話を自分たちの中小造船所に向けます。

日本の小型船(総トン数10000トン未満)を建造する造船所は76社あります(平成21年)。

その中でも1000トン未満の造船に関して言いますと、日本は相変わらず世界でも完全なトップ企業と言えます。

 中小型船といえども999GTタンカ-で軽く価格は10億円を超え、もし中国韓国の技術が良いのならとっくに日本に輸入されていますが、そのような事実はあまり確認されていません。作業船の台船部とか、一部の船に関しては話を聞きますが、まだまだ彼らが力をつけてくるには時間も相当かかるでしょう。

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船の船首形状について

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調査船の特殊な船首形状

船は海上を走りますと多種類の抵抗を受けます。

一番大きいのは造波抵抗、粘性抵抗、摩擦抵抗でしょう。その他波圧抵抗もあります。船首に飛び出ている部分はバルバスバウと言います。

これは何のためついているのかと言いますと、船は走ると波を作りますね。波が出来るということは、余分な仕事をしてエネルギ-を浪費しているということです。この波を作らないためには、船首にバルバスを設けて、本来発生する波と逆位相の波を先端でつくります。そして発生するはずの波を打ち消し、造波抵抗を小さくします。

日本で最初にバルバスバウを設けたのは戦艦大和です。

 

またこの船には大きなスカ-トのようにフレアがついていますね。これは波浪中を船が進みますと波が船内に打ち込んでくることを防いだり、波の飛沫が操舵室に飛び込み、視界を悪くすることを防ぎます。

船は海を走りますがいろいろな工夫がされていますよ。